「石田尚志 渦まく光」展@横浜美術館

久々に横浜美術館へ。




ここは多くの美術館と違って
月曜が休館じゃないんです。
案外知られていない?のかも。
月曜に行くと空いてて、見やすいことが多い気がします。

今回は

『石田尚志 渦まく光』展が企画展開催されていました。








石田さんの作品は
去年、東京都現代美術館で観たことがあって
すごく興味があったので
今回、初の大きな個展ということもあり、
行ってきました。

横浜美術館の上品な建物と静かな空気感に
ぴったりなインスタレーション作品。

石田さんの作品では
絵巻というスタイルで
まさに巻物を長く伸ばしたような絵と
それをコマ撮りして映像にしたものを
セットで見せていくものが私は特に好きで

《海坂の絵巻》という2007年の作品が
やっぱり好きかなあ。

石田さんの作品は音楽と一緒になっているものが彼の制作の根元にも関わるあたりで代表的ともいえるのですが
《海坂の絵巻》はサイレント作品。
ざらりとした感覚が伴う感じが好きです。

音の話でいえば
石田さんの作品は
「音楽の可視化」が非常に重要なポイントとなっているものが多く
様々な視点からの試みが見られます。

ご兄弟が演奏された音楽と
ご自身のアートとのコラボがあったり。
バッハなどのクラシカル音楽からイメージした作品があったり。

音がにじんだり、折り重なったりしていくのが、
絵描き込まれた線がにじんだり、重なったり、絡まり合う感じに、しっくりきます。

石田さんご自身の即興演奏と
アートのコラボなんかもあって
なるほどなあって感じました。

ピアノでバッハを弾いていると
指の動きがわかると特に
その重なりを強く意識するんです。
例えば、左手の小指で弾いた鍵盤は、指を離さないままで、親指と中指で別の旋律を弾いていく、とか。それが2声、3声などとなって重なるという、まあ、指がこんがらがるなあ、と思いながら練習したりもするわけなんですけれど。
その感覚と、石田さんのアートがすごく通じるところがあるなあと、個人的には感じました。

《20枚の原稿》という作品は
一枚の原画に次々と他の絵を重ねた映像を作ることで、原稿用紙のマス目と同じ数、400通りのイメージが紡ぎ出されるというもの。
この原稿用紙は、伊東屋さんのもので。
伊東屋さんの原稿用紙といえば、気合いを入れて文章ものを応募するときには、伊東屋を使うといい、なんてゲン担ぎがあるとかないとかいう話を聞いたことがあったり、著名な小説家の自筆原稿の展示を見たら伊東屋さんの原稿用紙だったり、
そんな原稿用紙が伊東屋さんの紙なのですが、
そうかぁ、伊東屋さんの原稿用紙で作ったわけかぁ、なんて
そんな細かいところがツボだったり。


《夏の絵》
《浜の絵》

も興味深かったです。
真夏の沖縄で、地面に水を噴霧しながら絵を描いていくんですけど
真夏だからコンクリートに描いたり、砂浜に描いたりしても
蒸発して消えていくんですよね。
それがまた絵になっていくっていう。
小さい頃に水遊びして地面に絵を描いた記憶が蘇って、すこし懐かしい感じ。
まあ、石田さんご本人の描く姿は
ほとばしる情熱で、懐かしいとは反対にある感じなんですけれど。


映像のみの作品で
すごく好きになったのは
《REFLECTION》と
《燃える椅子》

これらは巨大な厚みのあるパネルに投影されていて

《REFLECTION》が昼ならば《燃える椅子》は夜の作品だとか。

ずっと観ていられる
とても美しい作品でした。


久々に行ったインスタレーションの展示。

いつも思うのは
どんな作品展でも、やっぱり展示する空間に左右されるし、そこを鑑賞する人にも左右されたりもする。
だから常にインスタレーションであるような気もしています。

展示された場所で
本物の作品を目の前にしなければ味わえない心の動きが
そこにある。

だからこそわざわざ行って、じっくり展示を観たいなあって
毎回、行くたびに思うのでした。


横浜美術館、好きだなあ。

常設展もすばらしかった。
書ききれないのでまた今度にします。





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