シュールな笑み『キリハラキリコ』

次はどの本を読もうかと探す時に、
ウェブ上の情報を参考にしたりもします。
ランキングや読後の感想を書いてあるページを見たりしながら、
面白そうなものをチェック。
今日はそうやってウェブから見つけた本を読みました。

『キリハラキリコ』(小学館)
紺野キリフキさんの小説です。
紺野キリフキさんの作品は、先日読んだ『ツクツク図書館』(メディア・ファクトリー)や『はじめまして、本棚荘』(メディア・ファクトリー)が面白かったことから、
いろいろ調べていてたどり着いた本です。

正直、以前読んだ2冊程は期待せずに読み始めたのですが、
かなり面白くて一気に読み切りました。
主人公はキリハラキリコという女の子。数学の授業がある3学期制の学校に通っていることなどから、おそらく中学生くらいかなと思います。

このキリハラキリコがとにかくシュール。
彼女の切れ所もツッコミ所も、どこか変なんです。
そしてとても冷めていて、ずれているのに冷静なあたりも笑えます。
キリハラキリコもかなり変ですが、その周辺にはもっと変な、いやいや、個性豊かな人たちが沢山いて、普通という概念がぶった切られます。

キリコが書く日記という形で書かれているのも面白さを倍増させている感じがして、
とにかくありえないようなことが、キリコの周辺では日常のことなのです。

朝起きたら自宅が駅(キリハラ駅)になっていても、
キリコの思うことは、朝の支度をするのに人が多くて大行列ばかりで不便だとか、
ホームから布団までが徒歩一分なのは悪くないとか。

病気で学校を休みたいと思っていた時には、病気屋という行商がやってきて、リアルに高い5万円の「微熱と咳の風邪」と、不自然に安い「エボラ出血熱」を売りに来たのに、値段と、エボラはちょっとなという理由で断っていたり。

キリコの学校には2年7組が二つあったり、裏保健室があって裏保険医は手荒だが致死率98%の病気で駆け込んできた生徒も治していたりとか。

盗聴器を作ろうとして盗臭器を作ったり、大晦日当日と気付かずプリンを作ったのに数はちゃんと108個作ったりしたミスター水森。
パンダの転校生や、暦屋の親子。

げらげら笑う可笑しさではないのに、
面白くてたまらない不思議な世界。

んふっ、と微妙な笑みを浮かべながら読んでしまう。
やはりそれがシュールな世界?
ツッコミ所はそこじゃないだろう、と思いつつも、
キリハラキリコのピュアな部分も好きだったりします。










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