アイリーン・M・ペパーバーグさんが書かれたものを
佐柳信男さんが翻訳したものを読みました。
2007年9月に31歳で亡くなった、ヨウムのアレックスと
鳥の能力の研究をした著者のノンフィクションです。
鳥も人間の言葉を理解して、相互にコミュニケーションをはかれるのではないかと考え、
研究を続けている著者。
彼女は物の名前をラベルとしてアレックスに教えて行きます。
次第に多くの言葉を覚えて行ったアレックスは
「アイム・ソーリー」も使うようになります。
叱られた時や、物を壊した時などに使っているんです。
きちんと意味を理解して意図して使っているかは判別できないのですが、
怒っている緊張感をほぐそうとして使っているようだと分析されています。
他にも二つの言葉を組み合わせて新しい言葉を作り出したり、
わざとテストを間違えて答えて著者を困らせたり。
まるで子供とクイズ遊びをしているような感じで、
ヨウムの実験とは思えないくらい、
巧みに言葉や態度でコミュニケーションをとっているのです。
アレックスが入院した時のエピソードでは、我が家の鳥が入院した時を思い出しました。私も著者と同じように毎日病院に会いにいっていましたが、
アレックスのように「カエリタイ」なんて言われたら、胸が詰まりそうだと思います。
意図的に言葉を発していたことを証明することは難しいけれど。
もしかしたらアレックスは…と思えるシーンがたくさん出てきます。
学者であり、研究者であった著者が、このような推測を言うには、
今回のような本でなければ出来なかったことだし、
アレックスは論文で述べられていたこと以上に様々な可能性を秘めていたことを
知ることが出来ます。
可愛いアレックスと一定の距離をとるなど、学者のプロとしての姿勢を保ち続けた著者の強さ。
夫に、夢を諦めて堅実的に収入になる仕事をしろと言われても、挫けなかった信念。
その突き進んできたエネルギーゆえに、アレックスを失った時の悲しみは計りしれないと思いました。
もっと子供のように愛したかったと辛く思い出したこともあったかもしれません。
最後の日、アレックスは
You be good. I love you.
の後、
アシタクル?と聞きます。
明日はもう無いのに。
私は涙が止まらなくなりました。
アレックスのすごさはもちろんですが、
女性学者の信念の研究という視点からも面白いノンフィクションです。
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