『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』

読み終えました。
『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(角川書店)
万城目学さんの小説。


途中経過はここにあります↓
3月25日「おほちかま」
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自分自身が子供時代の渦中にあった頃

そういえば、こう思っていたようなあ
ということが
リアルに描かれている1冊。

かのこちゃんと、自分の子供の頃を、重ねてしまいます。

ゲリラ豪雨と言えずに、ゴリラと発音してしまう、かのこちゃん。
そういうの、あったなあ。
発音の音が妙に気に入って、意味も分からず連呼したり。


乳歯がぬける時の話も

そうそう!そう思ってた!ということが
色鮮やかに描かれていて。

かのこちゃんと、お友達のすずちゃんの会話。

「歯が抜ける時の、あのめりめりってすごい音は何だろうね」
というかのこちゃん。

この文章を読んだ瞬間に
自分の乳歯が歯ぐきから離れる瞬間の感覚を
まざまざと思い出しました。

ぷちぷち、ばりばりって音が
頭の中に響くんですよね。

歯がたくさんの糸で歯ぐきの奥の方と繋がっていて
その糸が少しずつ、ぶちぶちと切れて行くイメージが
私の中にはありました。

たしかに、めりめりとすごい音、と言われれば、そうとも言えるような。

一気に抜くと痛いから
舌で転がしながら、そのイメージの糸を
日々、ぷちん、ぷちんと1本ずつ切って
ラスト3本くらい?(あくまで想像上のことです)になったら
一気に舌で歯を押して、ぶちぶちぶちっと切り離す。

そんな感じまで、今、思い出したのでした。


「歯が抜ける寸前の、あの痛いような痒いような感じが本当に苦手」
というすずちゃん。

わかる~。そうそう!
あの、抜けそうで、抜けない時。
これ以上舌で押したら、まだちょっと痛いんだよね~という当たり。
食事するときも一応気を使ったくらいにして
でも四六時中気になるもんで、舌で抜けそうな歯をいじってしまう。


「歯が抜けたあとに舌を突っ込むと、深い穴が空いていてびっくりするよね」
と言うかのこちゃん。

あったあった!その感じ!
そして抜けた歯を見ると
歯が生えていた時には見えなかった部分が
意外としっかりあって、びっくりするんだよね。


編集者であり書評家である松田哲夫さんの解説を読むと
この本を書くにあたり、万城目さんは三鷹第一小学校に見学に行ったのだとか。
実際の学校にいる小学校一年生の様子をみて、描かれた場面もあるということで。

かのこちゃんを中心とした
学校の子供たちのようす、
かのこちゃん自信の気持ちの流れ、動きなどが
とてもリアルで、生き生きとしていて
その感じがすごく懐かしくて
自分の中の思い出があちこち引っ張りだされるような作品です。

小さい頃なら普通に感じて思っていたことも
大人になるに従って、忘れて行ったことが
たくさんあるんだなあと、改めて思いました。

小学校時代。

色鮮やかに目の前に輝いて、
それがなんだか、ちょっとくすぐったいような、はっとさせられるような、
そして、読み終えたあと、すごく優しい気持ちになる作品です。

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