LOVE『東京バンドワゴン』

本を読んでいて、テレビドラマのような映像のイメージを感じることもあるし、
文字そのものが持つ魅力的な文芸を感じることもあります。

それぞれに、それぞれの良さがあって、
私はどの表現も好きです。

移動時間に楽しくテンションを上げて行きたい時に読むのは、
コメディタッチのもの。
実はシリーズものの本には、これまであまり興味がなかったのですが、
最近立て続けに、シリーズものの本で面白い本に出会っています。
先入観はいけませんね、何事も。
シリーズものにも、面白くて、私が好きになれる本がたくさんあったんだなと
これまでに読んでいなかったことをちょっと後悔しています。

『東京バンドワゴン』(集英社)
小路幸也さんの小説です。
東京バンドワゴンという名前の古本屋さんを舞台に繰り広げられる
心温まるホームドラマを、笑いあり、ちょっぴりホロリとさせる涙もあり、
いい話だなあと感じさせてくれる物語です。

この『東京バンドワゴン』はシリーズものの第1弾。
なんど第5弾まで出ているんですね。

第1弾では4章で構成されていて、
東京バンドワゴンで起こる、四季の事件が1つの季節ごとに1つの章に書かれています。
最後は冬の章で終わっているので、今の季節に読み終えてパタンと本を閉じれば、
なんだかお正月に大勢で集まって家族だんらんという光景が恋しくもなります。

この東京バンドワゴンに出てくる家族の、食事シーンの描かれ方が好きですね。
全て会話文でしか書かれていないのです。
文字だけ見ていると、しばらく、かぎかっこの文章ばかりが続く状態です。
そして大勢で食事をしながら会話をしているシーンなので、
いろいろな会話が同時進行で成り立っているんです。
1つの話題をみんなで話し合っているのではなく、
醤油についてしゃべっている組と、学校についてしゃべっている組、
ペンがどこにあるのかと質問しているかと思えば、
犬を飼う話について話し合われている組もいたり。
それが全部いっぺんに進行している。

最初読んだ時には、どきっと驚かされましたが、
これが癖になる面白さなんです。
2章、3章と読み進めて行くうちに、
このご飯時の大家族のごちゃごちゃ会話シーンが出てくると
お、きたきた、この感じ、出ました!
と楽しくなってきます。

60歳、伝説のロッカーの我南人が言う「LOVEだねぇ」も大好きです。

家族愛、絆の温かさを感じられる作品。
次のシリーズも読みたくなりました。

http://beamie.jp/?m=pc&a=page_fh_album&target_c_album_id=543






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