『蜩ノ記』

前から読みたかった本
読み終えました。

ハードカバーだから
持ち歩くのにちょっぴり重かったけど
そんなことはなんのその
お仕事への行き帰りでもしっかり読んでおりました。

『蜩ノ記』(祥伝社)
葉室麟さんの小説で、過去に直木賞を受賞された作品でもあるので
タイトル、著者のお名前などを見て
あっ、と思われた方もいらっしゃったかもしれませんね。

江戸表の中老格用人だった、戸田秋谷は、
江戸屋敷でご側室と密通した罪、さらにはそれに気が付いた小姓を斬り捨ててしまった罪で、向山村に10年間幽閉された後の切腹を命じられてしまいます。

幽閉された10年の間、秋谷はその以前から行っていた家譜編纂の仕事を
続けることを命じられ、

切腹まであと3年という頃

壇野庄三郎と出会います。

庄三郎は喧嘩がもととなった別の罪で、切腹となってもおかしくなかったところを免れ、
秋谷を監視し、家譜の清書をしながら、
秋谷の家で3年暮らすことになります。

秋谷の家に来て庄三郎が気が付いたのは

「自分の命が助かるのと引き換えに、戸田秋谷が死ぬのを見届けよ、という過酷な使命を課せられたのだ。」

ということ。

タイトルにもなっている「蜩ノ記」とは
秋谷の日記のタイトルで

「夏がくるとこのあたりはよく蜩が鳴きます。とくに秋の気配が近づくと、夏が終わるのを哀しむかのような鳴き声に聞こえます。それがしも、来る日一日を懸命に生きる身の上でござれば、日暮らしの意味合いを籠めて名づけました。」

と秋谷は述べています。

この言葉を
ラストシーンで思い出して
改めて「蜩ノ記」というタイトルを眺め、
大きな何か、壮大な自然、宇宙のような存在に包まれたような
不思議な感覚になりました。
このあたり、気になる方は、ぜひ読んでみてください。


それぞれの想い、目標とすること、
やりたいと思っていること、
いろいろな気持ちのもとに
日々を過ごすわけですが、

秋谷のもとで暮らすようになって3年、
周囲も気がつくほど、変わって行った庄三郎が気が付いたことは

「ひとは心の目指すところに向かって生きているのだ、と思うようになった。心の向かうところが志であり、それが果されるのであれば、命を絶たれることも恐ろしくはない。」

ということでした。

最後までどっしりと構えていた秋谷。
穏やかでありながら、自分の「志」のために
今の自分ができる最大限のことをやりつくして
静かに去って行った姿は、
あまりにも大きすぎる存在でした。

コメント

白状しますが(笑)、実は、この作品は、葉室さんの
作品中、唯二つ読んでいないものの一つです。チューリップ
*ちなみに、もう一つは、『千鳥舞う』です。(笑)

ということで、コメは、読後に書きますね。。。クローバー

まるみる 2012年10月12日


一度、お聞きしたのですが

まりさんが、いつ本を読んでみえるのか

不思議でしかたがありません。

もしかして、まりさんの周りだけ

1日は30時間くらいありますか??

魔女みたい・。、・。

グラとし 2012年10月12日

興味そそる本の内容でありますほっとした顔


忙しい合間に読まれるのは感心しておりますウッシッシ

集中力が年と共に無くなりつつあります(笑)

隼人 2012年10月12日

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