『ぼくの・稲荷山戦記』


第32回講談社児童文学新人賞受賞作品でもある
『ぼくの・稲荷山戦記述』(講談社)
を読み終えたのですが、
児童文学の賞を受賞しただけのことはあり
たしかに若い世代でも読みやすい内容なのですが、
大人でもしっかり楽しめるファンタジー作品でした。
たつみや章さんの小説作品。

裏山の稲荷山と、稲荷山神社をずっと守ってきた主人公の少年マモルの家。
稲荷山が都市開発によって完全に失われてしまうのを防ぐため、
人間に化けた、おいなりさんのキツネたちとともに奮闘する物語。

人間と自然の共存の難しさ、もどかしさの
微妙なバランスが描かれています。
私たちが今住んでいる所だって
もともとは山だとか、自然のあるがままの形だった場所なんですよね。
そこに道ができて、家が建ってきた。

私は子供の頃は山も川も海もない新しく作られた住宅街に住んでいたので
もしかしたらむしろ大人になった今の方が
いろんな場所に行って自然をたくさん見ているかもしれません。

自然と共存、という単語は
あちこちでよく見かけますが、
いろんなことが絡み合っていて
本当に難しい問題なんだなと、感じます。

この小説のもう1つの重要なテーマは

信じる

ということ。

神様の存在や
化けるキツネの存在、
他にも日本にも世界にも
はっきりとは目には見えないし、科学で証明もできないような何かが
伝説や昔話の中にたくさん登場しますね。

「信ずればすべては真、うたがえば、すべては模糊の混沌におちいる。なにが現(うつつ)でなにが虚夢(ゆめ)か、決めるのはおまえの心ぞ。」

という台詞が出てきます。

自分の心の中だけに
強く存在する何か
というものも、あるんだということ。

それは目に見えなくとも
確かに、ある、ということ。

「うたがうことのみを知恵と思い込み、信ずるべきも信じず、あるものをもないと否定する。さすれば、残るものは迷いの闇だけよ。」

みんなが信じていたことで
存在していた何かが
昔は今よりもっともっとたくさんあったのかもしれませんね。

良い意味で
疑うこと、分析したり自分自身で確かめるために考えることは
大切なことですが、
そういう自分の心で見極める方法を
疑うことでひとくくりにし過ぎて
間違ってしまっている部分も含まれてしまったことに
気が付かない淋しさのような何か。

大切なことは
誰もが自分の心の中に
ちゃんと仕舞われているはずなのに、
すっかり忘れてしまっていたり、
誰かに笑われたくなくて隠したり、
そうやって
知らず知らずのうちに、薄れているのかもしれませんね。

コメント

これまでの人生で、科学では証明の出来ないような
不思議な事を、何度か体験しています。。。
私は、決してオカルトファンではないのですか。

詳細は、また今度の機会に。

そして、まりさんも、不思議な体験をしたことがあり
ますか。

まるみる 2012年04月16日

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