文庫として新しく出ていたのを本屋さんで発見。
衝動買いしてしまいました。
『小さい頃に置いてきたもの』(新潮社)
相変わらず、読んでいて楽しいのに
ぐっと胸に来るところもあって、
心に残る文章。ステキです。
笑ってしまったのは
旭山動物園に行った時の話。
ペンギンを見ていた黒柳さん。
「まあ、水泳選手の北島康介さんが水中を泳ぐように泳ぐのだ。」
とペンギンが飛ぶように泳ぐ様子を表現されていたのですが、
「ペンギンの一番凄い所は、泳いでいて、いきなりポンと岩の上に、飛び上がる所だ。これは、何度も何度も見ていて、私は、そのたびに、「凄い!!」と拍手した。なぜなら、北島さんがプールの中で泳いで、プールの端まで来て、いきなり、ポンと、プールの外に立ったら、凄い!とお思いでしょう?」
と言うのです。
ちょうど電車の中で読んでいたのですが、
世界ナンバーワンのスピードで泳いできた北島康介選手がそのスピードのままにポンとプールサイドに上がる様子を妄想してしまい、
んぷっ
と笑ってしまいました。
黒柳さんは
とにかくいつも真剣にいろんなことをおっしゃっているんですよね。
だから、こんな、ちょっと突拍子もないと思えることも、
ウケを狙って言っただろうっていう感じが全く感じられなくて、
そこが面白い。
正直で、率直にいろいろなことを言うのに、嫌な感じが一切しないというのは
こういうところに秘密があるのかもしれないなと、ふと思いました。
他にも
カバの赤ちゃんを撮影しようとしたら
カバのお母さんが赤ちゃんを隠してしまった時のエピソードも
笑いましたね。
カバのお母さんに向かって黒柳さんは
「ねえ、お母さん。すいません、お子さん、撮らせて頂けません?いま撮らないと、可愛くなくなっちゃうのね、大きくなると。すいません、すぐすみますから。」
と言ったというのです。
結局この後、黒柳さんの話がカバに通じたように
撮影はうまくいきました。
それにしても「いま撮らないと、可愛くなくなっちゃうのね、大きくなると。」
だなんて、
人間のお母さんなら、より一層怒って、二度と撮らせてもらえず、
ぷいとどこかに去ってしまうかもしれないようなことを…。
さらに笑ってしまったのは
野球選手のイチローさんの試合をスタジアムに初めて観に行った時の話。
背番号51は、51番目に登場する人という意味だと昔思っていたという黒柳さん。
バッターボックスに入る前に「バットを振って、お稽古している姿」とイチローさんの様子を表現し、
最後にはスタジアムの夜用のライトが明るいことに
「私たちも、あれぐらいのをあててもらえれば、すべての皺はとぶな、と、ひそかに思った。」
という…。
とにかく笑った本でしたが
黒柳さんはこんな風に面白いだけではなくて
すごく心に響く面も文章のあちこちににじみ出てきているようで、大好きです。
たくさんの、これまで地道に積み重ねられてきた、しっかりとした基盤の上で
自由に舞う究極の人、という感じ。
私もこんな風に
素敵な女性になれたらいいなあと思います。
日々、精進です!!
まりさんも、黒柳さんのように、素敵に年を重ねて
いけるといいですね。
そして、いつまでも、物事に素直に感動する、純粋な
心は、大切ですよね。。。