という漠然かつ巨大なテーマを投げかけられたら
なんと答えるでしょう。
きっと
同じ人でも
その時によって
いろいろな答えが出てくるのではという気がします。
『あなたがここにいて欲しい』(角川書店)
中村航さんの3つの短編集から成る小説を読みました。
この中の「ハミングライフ」という小説で
見知らぬ男女が木の洞の中に手紙を入れて文通をし始め
知り合っていく様子が語られています。
手紙だけのやりとりのシーンでは
ガーニーの『ラブ・レターズ』という戯曲を思い出しました。
小説だから会話も文字で読んでいるのだけれど
それはやっぱり、会話じゃなくて、メールでもなくて
手紙のやりとりから香り立つ言葉。
独特の柔らかさや
限られたスペースへ込められた
濃縮された思いが
優しく伝わってきます。
手紙のやり取りの中で、
女性から
「人生って何でしょうか?」という質問が書かれます。
男性は
「奪われたものを取り戻しにいこう。そう思うことがあります。奪われたものなど何もないのかもしれない。だけど僕に懸けているもの、僕が欲しいもの、それを奪われたものと仮定してみます。奪われたものは取り戻さなければならない、そう考えると何だか奮い立つような気がします。生まれる前、過不足なく全能だった自分。人生とは、生まれ落ちた瞬間なくしたものを、奪還するための長い旅かもしれません。」
と答えるのです。
自分が今現在の気持ちや立場から欲するようになったことが
実は最初から求めるようになっていた、という。
面白いですよね。
人生とは何か。
これを読んだ直後の私の気持ちは
自分が全力でどこまで走ることが出来るのかの
実験期間が人生である。
例えば今、現在
改めてもう一度、人生とは何か、考えてみると
楽しいこと
辛いこと
大変なこと
面白いこと
いろんなことを一つ一つ噛みしめながら
大切に味わうこと、
またそれをアルバムに重ねて行くこと。
そんな答えが出てきました。
人生とは何か。
これは、毎日新たな気持ちで自分に問えば、
もしかしたら、毎日いろいろな答えが
自分の心の中から返ってくるものなのかもしれませんね。
それはそれで、
よいのだと思います。
正解は必ずしも一つではないし、
変わるからこそ、生きて進んでいるということなのかもしれないし。
ただ
その時その時に、
人生とは何か、ということについて
答えてみる、ということは
自分を見つめ直すきっかけにもなるのかな
なんて気がしました。
人生を考える事はなかなか無いので、改めて問われると難しいですね。
まずは一日一日を大事に過ごしてから考えます。