なんかなあい?『シャトル日記』

田舎にいた頃、まだ幼かった私は
お正月にいろんな親戚の人が集まってくる本家にいると、
長丁場でさすがに退屈にもなってきて
うにゃもじ、もごもごとしてきていたのです。
そんな経験ありませんか?

大人になればお正月のお料理の美味しさや素晴らしさも理解が出来て、
会話もはずむものでしょうが、小さい子には苦しい現場です。

そんな時に、買い物ついでにレンタルビデオ屋さんに連れて行ってもらうとお正月は貸し出し中の札が付いているものが多く、観たいものもないなあとぼんやり思っていた気がします。今は「レンタルDVD」屋さんですね。

今日は、お正月も3日目、そろそろ苦しくなってきたぞという人にぴったり来る本を
偶然にも読んでしまいました。

『シャトル日記 琵琶湖のほとりで接客中!』(キネマ旬報社)
琵琶湖の近くでレンタルビデオ店「シャトル」を営む、店長の石村幸司さんが書かれた
日記を1冊に集めた本です。

元々は『月刊ビデオ・インサイダー・ジャパン』という雑誌に掲載した文書で、
それに未収録分を追加して書籍になった形。

図書館から借りたのですが、
経済・経営の棚で、マーケティングやら市場やら○○効果やらのお堅い文字が並ぶ中で
一際異色な光を放っていた本です。

最初はレンタル店っていろんなお客様が来るから大変なんだなとか、
そういう仕組みで儲かる、儲からないという成り立ちなのかとか、
レンタル店そのものの仕組みに関心しっぱなしでしたが、
読み進めて行くうちに
気が付いたら自分もシャトルに通うお客になったような気持ちになっていました。

1か月ごとに映像作品を3本ずつ紹介していくページもあり、
シャトルでPOPを読んでいる気持ちになり、今すぐ借りたくなってきます。

とにかく店長の石村さんはアツい男。
万引き犯を捕まえたくて、特殊警棒を購入する時なんか、
「本当は犯人見つけてド突き回すために必要なんです!」の本音を隠して購入し、
結果はアツい心でぶつかって行く。暴力沙汰じゃないですよ。

「いい作品をいいと薦められる店」を目指している姿勢は日記の端々から感じられます。
最高の接客業とは「お客様が求められている期待よりも、ほんの少しだけ上回るサービスを提供すること…」と石村さんは言っています。

映画好きな方はもちろん、アツい接客業に触れたい方も楽しめる作品です。
石村さんのエネルギーが伝わってきて、こっちまでやる気がみなぎるような一冊でした。



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